『スーパードンキーコング』シリーズに続いてレア社が手掛けたアクションゲーム『ドンキーコング64』。1999年にNINTENDO64用ソフトとして発売されました。
スーパーファミコンでは横スクロールでしたが、N64にハードを移し、シリーズ初めて3Dアクションが採用。『スーパーマリオ64』や『バンジョーとカズーイの大冒険』のように、収集要素やパズルに満ちた箱庭ステージを、5匹のコングが個性を生かして駆け巡ります。
『ドンキーコング64』は多くの傑作が生まれたN64の中でも最高のソフトの1つですが、開発当初は3D箱庭アクションではなく、スーパーファミコンの『スーパードンキーコング』シリーズを踏襲した2.5Dのプラットフォーマーとしてデザインされていたことが明らかになりました。
当時レアでリードアーティストを担当していたMark Stevenson氏(現在はPlaytonicのテクニカルアートディレクター)が、Nintendo Lifeとのインタビューの中で当時を振り返っています。
「『DK64』は記念碑的なタスクであり、大規模なゲームであり、仕事量も膨大でした。開発期間は約3年、『スーパードンキーコング3』を開発したチームはソフトの出荷後に『DK64』に取り掛かっていましたが、おおよそ18か月が経過した段階で、プロジェクトは仕切り直しになりました。
開発チームはデザインとソフトウェアのトップが入れ替わるように変更され、ゲームのジャンルも2.5Dアクションから『スーパーマリオ64』や『バンジョーとカズーイの大冒険』構造の3Dアクションへと切り替わりました。『スーパードンキーコング』フォーマットに則り、非常に多くのA-Bコースを作り直そうという当初のプランは、制作の観点から見て実行可能ではなかったのです」
また、『バンジョーとカズーイの大冒険』との共通点については
「私の知っているかぎりでは、『DK64』はバンジョーエンジンに基づいて制作はされていません。当時のエンジンはチームごとに異なる傾向がありました。特定の技術やアイデアを共有するということはありましたが、基本的なエンジンはチームごとのオーダーメイドだったんです。それに、使用したものの多くはゲームの開発中に作成されました」
とコメント。『バンジョー』のヘッド・プログラマーで、Playtonicのプロジェクト・ディレクターのChris Sutherland氏もこの発言に同意します。
「そう。チームは別々の建物に分かれていて、当時はほとんど共有はありませんでした」
collectathon(collect [収集] + -athion[長時間連続して行う])タイプの3D箱庭ゲームは、1990年代後半から2000年代初頭が全盛期。2002年、任天堂はレアの株式をマイクロソフトへ売却。レアが手掛けたドンキーコングアクションは『ドンキーコング64』が最後となりました。
久しぶりに復活した『ドンキーコング リターンズ』や『ドンキーコング トロピカルフリーズ』では任天堂傘下のレトロスタジオが開発を担当。グラフィックは3Dになり、ギミックや演出にその表現は生かされているものの、ジャンルとしては横スクロールアクションに回帰。『ドンキーコング64』は今のところ、シリーズ本編唯一の3Dアクションゲームとなっています。