日経トレンディの連載インタビューにレベルファイブの日野社長が登場。『妖怪ウォッチ』や『スナックワールド』『イナズマイレブン』、任天堂のハイブリッドコンソール「Nintendo Switch (ニンテンドースイッチ)」など、L5 の今後の戦略について語っています。
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妖怪ウォッチ:『4』は趣向を凝らしたものに
『映画 妖怪ウォッチ』について。『妖怪ウォッチ』の映画は年に1本ずつの公開ペースを守りたい。昨年の『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』の実写とアニメと行き来するアイデアは、スケジュール上の制約から。12月公開予定の『映画 妖怪ウォッチ』第4弾でも新たな挑戦。シナリオは1人で書き上げた。
『妖怪ウォッチ』ゲーム本編について。2014年に発売した『2』の頃より、だいぶ落ち着いているというのが正直なところ。関連商品の売り上げもそれ(ゲームの勢い)に伴っている。ブームになった時は大人にまで購入者層が広がっていたが、今は子供向けコンテンツのイメージになっている。ゲームをビジネスとしてやっていくには、大人層を取り返さなければ。
コンテンツの定番化や安定収益化にはあまり価値を見出していない。アニメ人気だけでなく、ゲームも売っていくためには、毎回違う面白いことをして、ソフトや商品を買いたいと思ってもらわないといけない。『妖怪ウォッチ4』はいろいろ趣向を凝らしたものにしなきゃいけない。今年の映画から新しい流れがはじまるはず。
スナックワールド:クロスメディアプロジェクト第4弾
クロスメディアプロジェクト第4弾『スナックワールド』。2017年4月からTVアニメが放送開始。7月には『スナックワールド トレジャラーズ』が発売予定。ゲーム内アイテムの「ジャラ」「スナック」はNFC内蔵トイとしても発売され、ゲームと連動する。
TVアニメはテンポの良さを大切にしている。話や会話のテンポも他のアニメよりずっと速め。キャラクターの動きも、普通に作った映像からわわざと中抜きをして、人形劇のコマ撮りのようにカクカク動いて見えるようにしている。アクションに関してはわざとそうしている。上の年代の視聴者にも見てもらえるように、ブラックユーモアも交えた展開にしている。
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イナズマイレブン:10周年イベント、新作ゲーム
10周年を迎える『イナズマイレブン』新作は、配信番組を通じてファンと一緒に作っている雰囲気。9月の「大復活祭」はまだ決まっていない部分も多いが、数千人規模の会場で行いつつ、全国数カ所でライブビューイングも見られるようにしたい。
新作ゲーム情報『アレスの天秤』についてはまだはっきりとは話せない。“高品質のゲーム機” でも出すということは先日発表した通り。同時に、スマートフォンでの展開も考えている。子供にとってスマホがメインのゲーム機かどうかは現時点ではなんとも言えないが、近い将来、子供が持つアイテムになるとは考えている。
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Nintendo Switch:対応ソフトを開発中
Nintendo Switch、いいと思う。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』がめちゃくちゃ面白い。やばい。実際に Switch で遊んでみると印象が変わった。持ち運びできるハイブリッドコンソールは相当可能性がある。対戦型のゲームにすごくフィットしていると思う。実際に集まっても、オンラインでも遊べる。まだ内容は言えないが、対応ソフトを開発している。
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その他
自社番組の配信や音響スタジオの拠点となる「L STUDIO」について。番組の配信スタジオとしてはすでにかなり使っている。効果的かつ快適。2017年4月からは音響スタジオとしても稼働を開始。今後、L5 タイトルはほぼすべてこのスタジオで収録。
グラフィック制作会社「フリースタイルワーク」について。様々な事情から、クリエイティブな仕事をしたくても会社に入れないような状況にある人たちが(子供が生まれたばかりでフルタイムは難しいなど)、気軽に働ける環境を整えたいと考えて設立。人数を増員中。
「eスポーツ」について。ゲーム業界全体として、これから積極的に取り組んで良いのでは。特定のゲームだけがeスポーツの対象ソフトとして認められるだけでなく、様々なジャンルのゲームで総合評価する形や、PS4の「トロフィー」(Xbox でいう実績、Apple のアチーブメント)のようにプレイヤーステータスのようなものがあっても面白いかもしれない。
2017年は挑戦の年に
2017年は『スナックワールド』をはじめとして、新しいものが目白押し。『ファンタジーライフ オンライン』『オトメ勇者』『レイトン ミステリージャーニー カトリーエイルと大富豪の陰謀』とリリースが続いていくので期待してほしい。
スナックワールドが新たな収益の柱へ
というわけで、日野社長がレベルファイブの2017年今後の戦略を語るインタビューでした。旬のすぎた『妖怪ウォッチ』の市場規模は、関連グッズを販売しているバンダイナムコの決算からも明らかになっている通り。
アニメから火がついた『妖怪ウォッチ』は大ブームとなり、国内で『ポケットモンスター』を超えようかという社会現象に。ピーク期の2014年4月〜2015年3月、関連グッズの売上はバンダイナムコだけでも552億円という規模でした。そこから2年でグッズ売上高は5分の1に縮小。2018年3月期の売上はさらに減少する見通しです。
妖怪ウォッチ 関連商品売上 推移 (バンダイナムコHD)
2014.3:14億円
2015.3:552億円
2016.3:329億円
2017.3:104億円
2018.3:63億円(見通し)
『妖怪ウォッチ』に関しては、『4』の話が出たように引き続き盛り上げていきたい考えもあるものの、レベルファイブが新たな柱として力を入れているのが、7月にゲームソフトが発売される『スナックワールド』。同社のクロスメディアプロジェクト第4弾で、4月からゲームに先行してアニメの放送がスタート。7月に発売されるゲームは、NFC内蔵の玩具(タカラトミーから発売)と連動することで遊びの世界が広がります。
次々とクロスメディア展開を成功させてきたレベルファイブが仕掛ける新たなプロジェクトの成否が注目されます。