【ゼルダの伝説】今後もオープンワールドに?『ブレス オブ ザ ワイルド』はシリーズにとって新しいフォーマット


ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム(The Legend of Zelda: Tears of the Kingdom)

 

2017年の『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』で任天堂は、シナリオに沿って進む、ダンジョンを順番に攻略するといった “ゼルダのアタリマエを見直す” ことにチャレンジし、オープンワールドでプレイヤーそれぞれが自由に遊べる世界を構築。1998 年の『ゼルダの伝説 時のオカリナ』からはじまった 3D ゼルダシリーズを刷新する大きな転換点となる、新たな方向性を示しました。

そしてついに完成した続編『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』。世界観を共有しストーリー的にも直接的な続編ということで、基本的なシステムは前作『BOTW』を踏襲しています。地上だけでなく空や地底にまで広がる世界で、クラフトを可能にする「ウルトラハンド」などプレイヤーの創造力を刺激する新能力が登場。より深化し自由に遊ぶことが可能になりました。

商業的にも大成功を収めた『ブレス オブ ザ ワイルド』。『時のオカリナ』がその後しばらくの間 3D ゼルダタイトルの土台となったように、『ブレス オブ ザ ワイルド / ティアーズ オブ ザ キングダム』路線もまた、今後のゼルダの土台となっていくのでしょうか。

『ゼルダの伝説』は今後もオープンワールドに?

ゼルダの伝説シリーズ総合プロデューサーの青沼英二氏は Game Informer とのインタビューで、『時のオカリナ』が3Dゼルダのひとつの時代を築いた、ある種ひな型となったように、『ブレス オブ ザ ワイルド』が後のゼルダ作品に取り組むうえでの、新しいタイプのフォーマットを生み出したと語っています。

「『時のオカリナ』に関しては、その後に続くゼルダシリーズにおいて多数の作品に影響をおよぼした、フォーマットを構築したという指摘は正しいと思います。でもそれはある意味、僕らにとっていささか窮屈でもありました。僕らはいつもプレイヤーに自由度のある体験を提供しようと目指しているのですが、そうする余裕のあまりないフォーマットでした。もちろん『時のオカリナ』以降もゼルダシリーズは進化を続けてきましたが。

ただ『ブレス オブ ザ ワイルド』に到達したことで、新しいタイプのよりオープンな遊び方や自由を手に入れた、とも言えると思います。ゼルダシリーズを続けていくうえで、新しいタイプのフォーマットを生み出したというのが正しいと思います」

ゼルダらしさを残すこと

『ブレス オブ ザ ワイルド』は3Dゼルダシリーズでアタリマエになっていた部分を見直し、変革し、これまでの3Dゼルダから大きく変化しました。ですがその一方でゼルダの DNA を受け継いでおり、遊んでいるとこのゲームが紛れもなく『ゼルダの伝説』であることを実感します。

長く愛され続けているシリーズで思い切ったイノベーションを起こすとき、長年のファンを遠ざけてしまうかもしれない不安はないか。という質問に対して青沼氏はおっしゃる通りとした上で、

「ゼルダらしさ、あるいはゼルダ感というものをゲームに反映させることが本当に重要なポイントだと思います。『ブレス オブ ザ ワイルド』のように本当に大きな変化があったとしても、ファンやプレイヤーがゲームをプレイしたときに “これはゼルダのゲームだ” と本質的に感じられる。それがファンの期待に応える上で、僕らにとってとても重要なんです」

ディレクターの藤林秀麿氏もまた、ゼルダの本質、ゼルダのエッセンスがゲームの中にあることが重要であると語ります。

「ゼルダの本質とでもいうのか、それを守っている限りはゼルダを作り上げる自由が与えられると思いますし、ゼルダはさまざまなかたちになり得ると思います。『ブレス オブ ザ ワイルド』でも、コアなゲームプレイのメカニクスに大きな変化がありましたが、ゼルダの本質は守られていたと考えています。『ティアーズ オブ ザ キングダム』で私たちは、プレイヤーに創造力を発揮して解決策を見出す自由を提供しています。これでいいのかなという不安や疑問は、私たちはあまり気にしていません。私たちが重視しているのは、実験を通してゲームプレイ体験を楽しくわくわくできるものにすること。そしてゼルダの本質がそこにあることを確認することです。そこが本当に重要だと思いますし、ゼルダチームが自信を持っている分野だと思います」


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