1993年にゲームボーイで発売された『ゼルダの伝説 夢をみる島』が、26年の時を経てNintendo Switchでリメイクされました。ミニチュアのジオラマを見ているかのようなかわいいビジュアルで生まれ変わった夢島。音楽もアレンジされました。その一方でゲーム内容人関しては基本的には原作通り、忠実にリメイクされています。
『ゼルダの伝説』といえば、任天堂は2013年、今後のゼルダシリーズについて“ゼルダのアタリマエを見直す” (rethink the conventions of Zelda) という開発方針を示しています。
見直す内容のいち例としては「シナリオに沿って進める」「順番にダンジョンを攻略する」「一人で黙々と遊ぶ」といったものがあり、実際にその後発売された『ゼルダの伝説 神々のトライフォース2』(2013年、ニンテンドー3DS)ではダンジョンの攻略順序を自分で決められるようになり、『ゼルダの伝説 トライフォース3銃士』(2015年、ニンテンドー3DS)はマルチプレイに重点をおいたゼルダでした。
また『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(2017年、Wii U/Nintendo Switch)では、オープンエア(オープンワールド)な世界を舞台に、ゲームをどう進めていくのかもプレイヤー自身が選択していけるようになりました。
ゼルダとして変化が生まれていた中で発表・発売された2019年版『夢をみる島』は、ビジュアルの刷新(素晴らしい)があったものの、ゲーム本編に大きな変化がないリメイクタイトルとなっています。
オープンエアな『BotW』が絶賛されたあとで、任天堂はなぜ、昔ながらの見下ろし型2Dゼルダスタイルを踏襲することにしたのでしょうか。シリーズ総合プロデューサーの青沼英二氏が海外メディアからの質問に対して簡単に説明しています。
オープンワールドのゲームは、オープンワールに適するように設計されている
青沼氏は『ゼルダの伝説 夢をみる島』のリメイクでオープンワールドを採用しなかった理由について、オープンワールドのゲームはオープンワールドの世界に適するよう設計されており、そうされていなかったものにオープンワールドを強制しても、面白くもなんともないだろうと感じていましたと説明。
確かに、原作がそうでなかったタイトルを、見かけだけオープンワールド化しても、面白くなりそうにはありません。
『夢をみる島』は『神々のトライフォース』と並ぶ見下ろし型2Dゼルダの名作の1つ。見下ろし型アドベンチャーゲームならではの独自の魅力があるので、今回はその魅力を引き出せるよう注力したと青沼氏はコメントしています。
青沼氏はまた、元は携帯型ゲーム機のゲームボーイソフトである『夢をみる島』をNintendo Switchでリメイクするにあたり、TVモード(据置)と携帯モード(携帯)の両方のモードで遊ぶことを念頭に開発したとコメント。
携帯モードで遊ぶときはミニチュアの世界を覗き込むような感覚でプレイでき、TVモードで遊ぶときは精巧に作られたミニチュアの世界に入り込んだかのように感じられます。どのように遊ぶときでも、どちらか一方が劣ることのないよう何度も繰り返してテストプレイをして確認したとしています。
『夢をみる島』リメイクは本編部分に目新しい要素がなくあまりに原作に忠実。今遊んでも名作の持つ魅力は健在で、面白さは折り紙付きではあるものの、オープンワールド化までいかないにせよ、リメイクタイトルとしてもう少し何か新たなプレイ体験を提供してほしかったところではあります。