任天堂が27日に発表した2017年3月期の通期決算は減収増益となりました。『ポケットモンスター サン・ムーン』が発売されたニンテンドー 3DS プラットフォームや新型ゲーム機 Nintendo Switch の順調な立ち上がり、『ポケモンGO』の寄与等がありましたが、Wii U の減少分が響き、売上高と営業益は前期比でダウン。また円高に触れた為替の影響もありました。
ただ、1月に発表した修正予想は上回りました。
任天堂の17年3月期の売上高は4890億9500万円(前期比▲3.0%)、営業利益は293億6200万円(▲10.7%)、経常利益は503億6400万円(+74.9%)、当期純利益は1025億7400万円(+521.5%)でした。
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17年3月期の連結業績
- 売上高:4890億9500万円(前期比▲3.0%)
- 営業利益:293億6200万円(▲10.7%)
- 経常利益:503億6400万円(+74.9%)
- 当期純利益:1025億7400万円(+521.5%)
各プラットフォームの状況
Nintendo Switch について
注目の Nintendo Switch は当初計画の200万台を4割近く上回る274万台を販売。ソフトは276万本を販売した『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を中心に546万本を販売しました。
この結果、Nintendo Switch プラットフォームの売上高は1109億5100万円でした。
ニンテンドー3DS について
ニンテンドー 3DS は本体が727万台(前期比+7%)、ソフトは5508万本(+14%)を販売。ハード・ソフトともに目標を達成(ハード720万台、ソフト5500万本)。
2016年11月に全世界で発売された『ポケットモンスター サン・ムーン』が1544万本を販売する大ヒットを記録したほか、『スーパーマリオメーカー』が234万本、『星のカービィ ロボボプラネット』が136万本と人気でした。
旧作の販売も好調で、『マリオカート7』が前年度実績を上回る197万本(+26.2%)を販売(海外では2DS同梱モデルあり)。『New スーパーマリオブラザーズ 2』も前年度と同程度の103万本(▲5.5%)を販売しました。
ポケモンGOの影響
『ポケモンGO』が追い風となったポケモン関連タイトルの売上を見ると、『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』が前年度と同規模の190万本。『ポケットモンスター X・Y』は前年度ミリオン未達でしたが、今期は141万本を販売しています。
この結果、3DSプラットフォームの売上高は2479億4900万円(+5.1%)でした。
Wii U について
生産が終了した Wii U は、本体が76万台(▲77%)、ソフトは1480万本(▲46%)でした。ハードは概ね計画通り(目標80万台)、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』が健闘したソフトは目標の1400万本を超過しました。
この結果、売上高は643億8300万円(▲67.5%)でした。
スマホビジネス について
今期から本格的にスタートしたスマートデバイス事業(iOS / Android)。当初、5本程度のリリース予定、結果的には3本となりましたが、『Miitomo』『スーパーマリオ ラン』『ファイアーエムブレム ヒーローズ』の3タイトルが収益に貢献。
この結果、「スマートデバイス・IP関連収入等」の売上高は242億5000万円(+322.9%)となりました。
スマホアプリが期末の『Miitomo』のみだった前期の「スマートデバイス・IP関連収入等」の売上高が57億円なので、スマホ事業のみの売上を見た場合は、200億円に届いてない程度の規模に収まっていると思われます。
ダウンロード売上
追加コンテンツによる売上が限定的だったダウンロード売上高は325億円(▲25.9%)でした。
その他(amiibo など)
成長市場だったのが一転して、2016年は逆風となった「Toys-to-Life」。任天堂はこの分野で『amiibo』を販売していますが、2017年3月期の実績はフィギュア型が約910万体(▲63.1%)、カード型が約930万枚(▲67.8%)と苦戦。
『ニンテンドークラシックミニ:ファミリーコンピュータ(ミニファミコン)』が世界的に好調だったものの、『amiibo』やバーチャルコンソール売上を含むその他ゲーム専用機の売上は398億4600万円(▲36.6%)でした。
その他(トランプ他)
その他(トランプ他)の売上高は17億1400万円(+8.6%)でした。欧米向けが好調でした。
ポケGO等の寄与が202億円
『ポケモンGO』が大ヒットした株ポケなどに係る持分法による投資利益で202億円を計上した結果、経常利益は503億円に。またシアトルマリナーズ運営会社の持分の一部を売却したる投資有価証券売却益645億円が特別利益として計上されており、この結果、当期純利益が1025億円と大台を回復しています。
18年3月期の連結業績予想
18年3月期の見通は増収予想。マリナーズ売却益が見込めなくなる分、純利益は減益予想ですが、本業の営業利益や経常利益に関しては大幅な増益予想となっています。
Switch は勢いを維持し、『マリオカート8 デラックス』『ARMS』『スプラトゥーン2』『スーパーマリオ オデッセイ』など自社の注目作を投入してプラットフォームの活性化とさらなる普及を目指します。ソフトメーカーからも有力タイトルが控え、バラエティに富んだラインナップに。
3DSもビジネスを継続。『ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王』が発売されたほか、『Ever Oasis』や『Hey! ピクミン』、25周年を迎えた『星のカービィ』の “対戦アクション” 新作も発売予定。ソフトメーカーからは『ドラゴンクエスト11』など大型タイトルも予定されています。
スマホ展開では、収益モデルの異なる3つのアプリ運営に注力しながら、新たなタイトルを投入し、ビジネス拡大を目指します。
- 売上高:7500億円(+53.3%)
- 営業利益:650億円(+121.4%)
- 経常利益:600億円(+19.1%)
- 純利益:450億円(▲56.1%)
足下の状況を見ると、Switch の販売目標が1000万台なのはかなり控えめな設定に見え、さらに想定為替レートも1ドル105円、1ユーロ115円と慎重な見方。海外比率の高い任天堂にとって、円高となることは収益減に直結しますが、そうした中でも、業績が好転していく予想となっています。
広告宣伝費・研究開発費が増加
Nintendo Switch のローンチがありながら、17年3月期は487億円だった広告宣伝費ですが、普及を推し進める18年3月期は650億円に増加。また研究開発費も17年3月期の592億円から18年3月期は650億円に増加する見通しです。