任天堂の岩田社長は株主総会の質疑応答の中で、E3 2013に出展したタイトル以外にもWii Uソフトの開発は進めており、新しいタイプのゲームについても、発売日が近づいてから発表すると語りました。
任天堂の判断としては、E3に関心を持つユーザーは比較的コアなゲームファンで、伝統的なビデオゲームの情報を強く求めている層とのこと。そのため、E3 2013ではまず「Wii Uではこれらのゲームが間違いなく遊べる」という情報を伝え、不安を取り除くことにフォーカスしたということです。
当然ながら出展タイトルで全てではなく、他にも任天堂が開発を進めているタイトルがあるわけですが、その中でもまったく新しいゲームについては、発表から発売までに模倣や競合製品がリリースされ、インパクトが弱まってしまう恐れがあることから、発売が近づいてから発表すると岩田社長はコメントしています。
任天堂は以前、新しい製品を発表してから発売まで間が空くことが少なくなかったので(延期もあったりして)、その間にライバル他社から似たコンセプトの製品を発売された苦い経験があります。それを防ぎたい狙いから、最近では発表から間を置かずに発売することも増えています。
また、戦略的にもWii Uではまず、ゲームファンの満足度を高める施策を進め、「新しい驚きといったものはもう少し後の段階でと思っています」と岩田社長はコメントしています。
まず先にゲームファンにアピールする戦略は、ユーザー層の拡大に成功しながら奥の深さで課題を残したWii/DS時代の反省によるもので、ニンテンドー3DSの時と同じものです。
3DSの1年目、2011年の年末商戦は『スーパーマリオ 3Dランド』『マリオカート7』『モンスターハンター3G』が市場を牽引し、発売1年の2012年2月には累計500万台を突破。2011年秋カンファレンスで発表されたタイトルのリリースもあり、ゲームファンも満足できるタイトルが3DSでも発売されることを印象づけました。
そして2年目の夏以降、任天堂からは『鬼トレ』や『新 絵心教室』『ガールズモード』『とびだせ どうぶつの森』など、比較的ライトな層への訴求を狙ったタイトルが数多くリリースされました。中でも年末年始商戦での『とびだせ どうぶつの森』の大ヒットは記憶に新しいところです。