任天堂独自のソーシャルサービス「Miiverse (ミーバース)」。まもなく開始から5年を迎えようとする2017年11月8日をもってサービスが終了となりますが、対応プラットフォームの1つであるニンテンドー3DSがまだ現役で、利用者も残っている今なぜサービス終了となるのか。任天堂アメリカのレジー社長がその理由を語っています。
Kotaku から質問を受けたレジー社長はまず「Miiverse は素晴らしいコミュニティでした」と述べ、有益なサービスであったことを振り返ります。続けて「Nintendo TVii も含め、任天堂が考えていた、Wii U の提案に欠かせないサービスでした。ただ残念なことに、Wii U を普及させることができなかったことから、それらサービスは財政的に厳しい状態を避けられませんでした」とコメント。
また、まだ現役でソフトも発売され続けているニンテンドー3DS向けの Miiverse も終わってしまうことについては、「すべてリンクしているんです」と理由を説明。「サービスからアーキテクチャ、および配信にいたるまで、Miiverse はすべてリンクしているんです」
つまり、Wii U の Miiverse サービスを終了すると決めた判断は、同時に 3DS や Web 版の Miiverse 終了も意味していたと。
『Miiverse』を始める理由やオンラインサービス運営上のコストをどう吸収していこうとしていたかについては、岩田聡前社長がサービス開始前に語っています。Miiverse として直接収益化は難しくても、サービスを通じて口コミが広がり、ソフトの売上が増えていけば収益に貢献できる、投資に見合う成果を得られるだろうと期待されていました。
Wii Uで展開する『Miiverse(ミーバース)』と呼んでいるネットワークサービス、社内では、「お客様のゲームに関する共感をいかに増幅してお伝えするか」ということをテーマにしているんですが、例えばあるソフトを楽しまれている方が、「こういうソフトも楽しいよ」というのを見たときに、今までまったく購買の対象として考慮に入っていなかったソフトウェアを「あ、これも面白いのかも」と、目を向けていただけるチャンスが生まれると思っています。
すなわち言い換えると、こういうネットワークサービスを展開していくことで、直接収益は得られないとしても、ゲーム機の稼働率が高い状態が維持され、新しいソフトが出たときにより売れやすくなる。あるいは、年に2本ソフトを遊ばれていた方が、3、4本遊んでみようと思う。すなわち、ハード1台当たりのソフトの売れ方が変わってくるという形で、収益に立派に貢献できるはずだと考えていまして、それを実現するためのサービスとして何が必要かという観点から、経済的な面では運営をしていこうと思っております。
したがって、先ほどのご質問に関しましては、直接的に会費をいただくというようなことは考えておりませんが、そのサービスを通じてソフトウェアがより売れるようにしていきますので、結果的にそこに投資をしても十分に見合う成果が上がると私たちは信じて準備を進めております。
Miiverse は、世界中の人たちが Mii を通じてつながる SNS として、Wii U と同時にスタート。発売されるソフトにはコミュニティが用意され、そのゲームについて情報交換をしたり、スクリーンショットを撮って思い出を残したりすることなどができました。
また対応ゲームではメッセージや手描きイラストがゲーム内に表示されたり、アイテムのやり取りを行うこともできました。
みんなのメッセージで作るモザイクアートが完成
サービス終了を前に、Miiverse ではこれまでの思い出やメッセージを投稿する「みんなでよせがきコミュニティ」が開設。利用していたユーザーからだけでなく、任天堂の宮本茂氏や青沼英二氏、手塚卓志氏、京極あや氏、マリチャン、案内担当のサエちゃんをはじめとして多くのスタッフからメッセージが投稿されています。
そしてサービスの集大成として、このコミュニティに寄せられたメッセージでモザイクアートが制作されました。
サービス終了にともなって、メッセージの閲覧も不可に。
Miiverse トップページからモザイクアートを確認することができます。