任天堂、21年3月期のモバイル事業は「新作アプリも開発中だが現在配信中の6タイトルが中心」


 

任天堂のモバイルビジネスは、任天堂 IP に対する接点の拡大であったり、ゲーム専用機向けタイトルとの相乗効果を見込んでいると同時に、事業単体で「年間売上1,000億円」を目標にしているとか(わかりやすい数字として)、そのために年2〜3タイトルほどリリースしていくという話が以前から出ています。

ただ2019年度のモバイル・IP関連収入等の売上高は512億円(前期比+11%)。年々拡大しているとはいえまだ目標に届いていません。

ラインナップも2019年9月5日より配信中の『マリオカート ツアー』をもって、発表済みのスマートフォン向けタイトルはすべてリリースし終えたかたちとなり、2021年へ向けた次のスケジュールは2020年5月時点でまだ見えていません。

任天堂は今後、モバイル分野をどう拡大させていくつもりなのでしょうか。

任天堂の古川俊太郎社長は2020年3月期の決算説明会カンファレンスコールにて、「2021年3月期のモバイルアプリのラインナップと収益に対する考え方を聞かせてほしい」との質問を受け、次のように回答しています。

まず今期のモバイルアプリのラインナップについて古川社長は、

モバイルビジネスの展開に関しては、現在配信している6つのアプリを中心に運営していくと同時に、引き続き新しいアプリの開発も行っています。新しいアプリについては、現時点で何か新しいものを具体的に発表できる段階ではありません

とコメント。新規アプリの開発は行っているものの、現時点で具体的に発表できる段階にはないようです。

今期は現在配信中の6つのアプリ(スーパーマリオ ラン、ファイアーエムブレム ヒーローズ、どうぶつの森 ポケットキャンプ、ドラガリアロスト、ドクターマリオ ワールド、マリオカート ツアー)が中心となります。

モバイルビジネスの位置づけに変化はあったのでしょうか。

今後のモバイルビジネスの位置づけについてですが、モバイルのマーケットに向けて新しいアプリを何本も継続して出していくというよりは、任天堂のビジネス全体の最大化に向けて、任天堂 IP(ゲームのキャラクターや世界観等)の積極活用を推進するための手段として、モバイルビジネスを続けていきたいと思っています。

そして、モバイルアプリを出すことの直接的な目的は、世界中に広く普及したスマートデバイス上で当社 IP を用いたゲームを展開することで、より多くのお客様に任天堂のゲームの世界観に触れていただくことと、個々の IP のファンの皆さまに対して継続したサービスをモバイルのプラットフォームを使って展開することになると考えています。

例えば『スーパーマリオ ラン』は4億以上の端末にダウンロードされており、『マリオカート ツアー』も非常に多くのお客様に継続して遊んでいただいています。

直近の例では『どうぶつの森 ポケットキャンプ』は『あつまれ どうぶつの森』の発売に合わせてアクティブユーザー数や新規ユーザー数が大きく増加しました。一方で『どうぶつの森 ポケットキャンプ』が「どうぶつの森」IP 全体の活性化や『あつまれ どうぶつの森』の潜在的なお客様に認知していただける良い手段にもなっていると考えられます。

こういった活動を通じて、任天堂が提供するユニークな娯楽の提案に触れていただけるお客様との接点を広げていきたいと考えています。

なお、当期の業績予想においては、モバイルビジネスの売上高が大きく増えるという想定はしておりません

と古川社長はコメント。

少なくとも今期についてはモバイル分野へ積極的に開発リソースを投入していく考えはないようにみえます。

それよりも、モバイル参入当初からの目的の1つである「任天堂 IP の積極活用を推進するための手段」「任天堂 IP に触れる人口の拡大」「ゲーム専用機向けソフトとのシナジー効果」といった部分にフォーカスして取り組んでいくことになるようです。

また当期の業績予想でモバイルビジネスの売上高が大きく増えるという想定はしていないということから、新規タイトルのリリースがあったとしても、それほど大規模なタイトルとはならなそうです。


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