マイクロソフトがアクティビジョン・ブリザードを現金687億ドルで買収へ、『CoD』『オーバーウォッチ』『ディアブロ』などを抱える巨大メーカー


 

セクハラなど相次ぐ不祥事で揺れるアクティビジョン・ブリザードが、マイクロソフト傘下へ。

米マイクロソフトは2022年1月18日、米ゲーム大手のアクティビジョン・ブリザードを 687 億ドル(約 7.9 兆円)で買収すると発表しました。両社の取締役会で合意し、全額現金で買収。2023年の手続き完了を目指します。買収成立には規制当局やアクティビジョン株主による承認が必要。マイクロソフトとして過去最大規模のM&A(企業の合併・買収)とのこと。

アクティビジョン・ブリザードは『コール・オブ・デューティー』や『ディアブロ』『オーバーウォッチ』『ウォークラフト』『ワールド・オブ・ウォークラフト』『ハースストーン』『クラッシュ・バンディクー』『スパイロ・ザ・ドラゴン』『キャンディークラッシュ』など多くの人気タイトルを抱える、年間売上高 80 億ドル(約 9,200 億円)以上という米ゲームソフトメーカー最大手のひとつ。

中でも『コール・オブ・デューティー』は欧米で人気が高く、アメリカでは 13 年間連続して年間売上1位になっているフランチャイズです。2021年の最新作『コール・オブ・デューティー:ヴァンガード』は 2021 年年間 1 位を獲得。さらに前年タイトルの『コール・オブ・デューティ:ブラックオプス コールドウォー』も 2 位に入りました。

買収が無事に完了するとこれらタイトルや開発スタジオがマイクロソフト傘下となり、マイクロソフト自身のラインナップと合わせ、極めて強力なソフトラインナップを持つことになります。

もしアクティビジョン・ブリザードの有力タイトルが独占されるようなことになれば、競合他社、特にマルチプラットフォームで人気タイトルが被ることの多い PlayStation 陣営にとっては大きな痛手です。

2021 年の米国 PlayStation プラットフォームにおける人気上位 20 作品のうち、1位と3位、16位が『コール・オブ・デューティー』でした。

またサブスクリプションサービス「Game Pass」の加入者数が 2,500 万人を突破したこともあわせて発表。買収完了後はアクティビジョン・ブリザードタイトルも効果的に活用され、サービスにさらなる付加価値を加えることになるでしょう。

マイクロソフトは今回の買収を Xbox プラットフォームや PC だけでなく、これから本格化するだろうメタバースプラットフォームにおいても重要な役割を果たすと考えているようです。

マルチタイトルはXbox/Win独占に?

ソフトメーカーであるアクティビジョン・ブリザードは現在、Xbox のみならず Nintendo Switch や PlayStation でもソフトを展開。買収が完了するまで、アクティビジョン・ブリザードとマイクロソフトは独立してそれぞれの業務にあたることになっています。では買収が完了した後は?直接競合している PlayStation プラットフォームや、任天堂プラットフォームへのソフト提供はなくなるのでしょうか。

マイクロソフトのゲーム部門トップであるフィル・スペンサー氏は今回の買収発表の声明の中で、「引き続き様々なプラットフォームがサポートされる」と短く述べています。

買収が完了した後は、Xbox Game Pass / PC Game Pass 内で、新作を含め可能な限り多くのアクティビジョン・ブリザードタイトルを提供する予定であるとコメント。

アクティビジョン・ブリザードの保有する素晴らしいフランチャイズ群はまた、マイクロソフトのクラウドゲーミング計画を加速させ、より多くの人が世界中のより多くの場所で、スマートフォンやタブレット、ノートPCその他あなたが持っているデバイスを使用して、 Xbox コミュニティに参加できるようにするでしょうとも。

「アクティビジョン・ブリザードのタイトルはさまざまなプラットフォームで楽しまれています。我々は今後も、これらコミュニティをサポートしていく予定です」

マイクロソフト傘下後のアクティビジョン・ブリザードは、どのコミュニティのサポートを継続するのでしょうか。


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