スクウェア・エニックスの松田洋祐社長が、日経トレンディのインタビューに応じ、任天堂の新型ゲーム機「Nintendo Switch (ニンテンドースイッチ) 」に対する印象などを語っています。
『ドラゴンクエスト』のような一部IPを除けば、任天堂プラットフォーム向けタイトルの発売は最近控えめになっているスクエニですが、Switch では、移植とは言えローンチから『ドラゴンクエストヒーローズI・II for Nintendo Switch』と『いけにえと雪のセツナ』の2本を投入。
また今後発売予定のタイトルも『みんなでワイワイ!スペランカー』やアクションRPG『聖剣伝説』の初期3本をまとめた『聖剣伝説コレクション』、『ドラゴンクエストX』、『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』(スクエニ公式としては未発表扱い)、新規プロジェクトの『Project OCTOPATH TRAVELER (プロジェクト オクトパストラベラー)』といったタイトルをすでに発表していて、Switch に積極的なメーカーの1つとなっています。
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スクエニ、Switch 向けに新作や移植を積極投入
松田社長は「Switch に強い興味を持っているクリエイターは、どういう遊びができるか挑戦したいと意気込んでいる」「プラットフォームが増えるということは、コンテンツメーカーにとってはいいこと」と述べ、ぜひ成功してもらいたいと期待を込めました。
スクエニとしては「新規タイトルの開発はもちろん、既存のゲームタイトルでも可能なものはどんどん移植したい」と考えているという松田社長。すでにそうした傾向は見られるものの、 Switch では今後、新作に加えて、移植展開も積極的に行っていく意向を明らかにしました。
Switch の機能を生かした自分たちが得意なゲームを作っていく
1つ興味深い点として、スクエニはどうやら Switch の機能を無理に使おうとはしていないんですね。松田社長は「われわれにはわれわれのやり方がありますから、Switch の機能を生かした自分たちが得意なゲームを作っていきます」とコメント。任天堂や他社が Switch の特徴を活かした新たな提案を生み出そうとする中でも、自分たちの強みをブレずに貫いていこうとしています。
Wii のときは、新しい操作として Wii リモコンの提案があって。強制ではなく、従来操作も用意されていたものの、新たな操作スタイルにとらわれてブームに乗り切れないメーカーもありました。今回はその反省が生かされているようにも見えます。
FF15がシリーズ最速で600万本突破
その他、インタビューの中では、『ファイナルファンタジー15』がシリーズ最速となる発売1ヶ月強で世界600万本を突破したことであったり、世界市場ではダウンロード販売の比率が高まっていること(FF15は北米でDL比率が2割超)、1タイトルあたりのライフタイムバリュー(生涯価値)を最大化していくこと、注目度を維持するためには世界同時発売が非常に重要であること、発売地域に合わせた “カルチャライズ” よりも、純国産として振り切った方が評価される傾向にあることなどが語られました。
スマホゲーム市場は成熟し新たなフェーズに
スマホ市場に対しては、成熟してきているとの認識。これまでの勝ちパターンというか、ヒットの方程式が通用しなくなってきているとコメント。今年のテーマに「Something Else(ほかと違うもの)」を設定し、「○○風」から脱却し、新しい体験を提供出来るよう務めているとしています。
家庭用では世界同時発売を強く意識している一方で、スマホ向け市場はそうではありません。スマホゲーム市場は日米中が大きなシェアを占めていて(世界の80%)、今後もしばらくは一変するほどの変化は無いとの見方から、主要地域でしっかりビジネスをしていくことが世界同時発売を意識するとりも重要だと松田社長。その上で、新興国(中東地域やメキシコ等)の動きも注視していくとのこと。
またビデオゲームに対するネガティブなイメージが薄れてきたインドも、今後魅力的なマーケットになる可能性を秘めていると松田社長。遊ばれているのはスマホやPC向けがほとんどで、家庭用ゲーム機は関税の問題もあってまだ普及していないそう。それでも、決済方法や通信インフラの整備が進むことで、巨大なゲームマーケットが誕生するポテンシャルがあると考えているようです。
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