スクエニの19年3月期は増収減益、『KH3』など家庭用ゲームが好調だった一方で、スマホ向け新作が不振。新作の投入費用も増加


 

スクウェア・エニックス・ホールディングスが5月13日に発表した2019年3月期業績は、売上高が前期比8.2%増の2,710億4800万円と増収だったのに対し、営業利益は35.7%減の245億3,100万円、経常利益は21.6%の283億1,200万円、純利益は28.5%減の184億6,300万円と大幅な減益となりました。

新作の開発費等で利益率が悪化したほか、期中に子会社Luminous Productionsの事業方針の抜本的見直しを行う決定をし、コンテンツ制作勘定の処分等36億3,800万円を特別損失として計上したことなどが響きました。

デジタルエンタテインメント事業は増収減益、新作ゲーム開発費負担

家庭用ゲームを含むデジタルエンタテインメント事業の売上高は6.9%増の2,045億9,000万円、営業利益は33.1%減の290億6,200万円でした。

家庭用ゲームでは世界出荷・DLが500万本を突破した『KINGDOM HEARTS III』をはじめ、『SHADOW OF THE TOMB RAIDER』『JUST CAUSE 4』『OCTOPATH TRAVELER』といった新作が牽引して前期比42.6%増収の936億円となり、ここ5年で最高の売上高を記録。デジタル販売の拡大が増収に貢献しています。一方で営業利益は、新作タイトル投入に伴う各種費用が増加したことから減益となりました。

新作が好調だったことから販売本数も増加。パッケージ版の販売本数は前期比20.8%増の1,594万本でした。ダウンロード版の販売数も増加し、前期1055万本(うちエピソード配信335万本)から1,061万本(うちエピソード配信256万本)となりました。

とくに欧米で伸びており、パッケージ版の販売数は前期724万本から1,245万本へと大幅に増加しています。

スマホ・PCブラウザ等向けは、新作タイトルの多くが想定を下回ったことやライセンス収入の減少もあって減収に。既存タイトルに上積みできず売上高は前期比10.6%減の838億円でした。営業損益も減益となりました。

MMOは前期に『ファイナルファンタジーXIV』『ドラゴンクエストX』の拡張パッケージを発売した反動で減収減益。売上高は14.7%減の271億円でした。ただし継続課金収入は好調を維持しているとのこと。

アミューズメント事業は売上高462億4,300万円(+10.8%)、営業利益19億5,800万円(▲18.5%)でした。店舗運営が堅調だったのに加え、アミューズメント機器の新作が売上増に寄与。一方、新機種導入に伴う償却費の増加等が減益要因となりました。

好調だったのは出版事業。売上高140億3,100万円(+27.0%)、営業利益39億7,000万円(+60.7%)でした。電子書籍販売が大幅増。マンガアプリの「マンガUP!」も好調でした。

ライツ・プロパティ等事業は新作グッズがヒットした前期の反動減。売上高は73億9700万円(▲2.3%)、営業利益は9億3,200万円(▲50.6%)でした。

2020年3月期の見通しは、売上高が2,700億円、営業利益240億円、経常利益240億円、純利益168億円で減収減益。中期業績⽬標の達成に向けた⾜固めと、ポスト中期業績⽬標への準備に注⼒するとのこと。

この記事をシェアする

Next

Previous