フランス映画と相性が良いのか(単にハリウッド作品が悪いのか)、監督に『トランスポーター』のルイ・レテリエを迎え、『キス・オブ・ザ・ドラゴン』に続いて再びリュック・ベッソン(製作・脚本)とジェット・リー(主演)が手を組んだのがこの『ダニー・ザ・ドッグ』。アクション演出にユエン・ウーピン、音楽はマッシヴ・アタック。
首輪を付けられた孤独な殺人マシーンのダニー(ジェット・リー)は、5歳の時に母親から引き離され、悪徳高利貸しのバート(ボブ・ホスキンス)に金儲けの道具として地下で育てられてきた。ダニーの心を唯一動かすものはピアノの旋律の記憶だったが、そんなある時、借金の取り立てのために行った骨董品倉庫で、彼は盲目のピアニスト、サム(モーガン・フリーマン)と出会う。
真面目な優等生警官役が多いジェット・リーははたして今回どんな役なのかといえば、愛を知らずにただ闘うためだけに育てられた孤独な殺人鬼。首輪をされているうちは無垢な表情ながら、首輪を外され「殺れ」と命令を受けると、相手を殺るまで止まらない凶器と化すのでした。
このオンとオフの切り替えの演技が素晴らしいんですよね。首輪をしているオフの時は本当に主人に従順な飼い犬のような目でバート叔父さんを見つめていたり、スイッチが入れば今度は暴力的なアクションを繰り出して非道を尽くす。このアクションも、普段のしなやかな動きとは違って野性的。
そして、自分の中に微かに残るピアノの記憶と、盲目のピアノ技師との出会いが結びつき、愛情に目覚めていくダニー。怯え方であったり、好奇心であったりが実に犬的で魅力溢れるキャラクターです。演技上手いぜジェット・リー。
共演は、名優モーガン・フリーマン。彼がいることで無茶な設定の物語にも説得力が生まれるのですよね。年頃の娘がいるというのに、見ず知らずのダニーを家に連れてきて介抱してくれたり、その娘がまたすぐダニーと仲良くなったりと、普通に考えるとなかなか警戒心の薄い一家です。それでもダニーが人としての感情を形成していく下りは結構好きですね。ほんわかするエピソードです。
そして、ダニーの育ての親であるバート叔父さんもなかなか魅力的。何度致命的な事故に遭ってもピンピンしてます。そして屈折した愛情なんだろうか、自分の元から去っていったダニーに対しても激高すると殺そうとしてしまうんですが、思いとどまったり。まあ、ダニーはバートにとって無類の強さを誇る貴重な取り立て屋&資金源なので、という現実的な理由なのかもしれないですけど。
アクションシーンは中盤以降尻すぼみ。
犬ではなく、人になったダニーが最後にどういう殺陣を見せてくれるのか期待していたのですが、対決シーンが狭い場所で行われるために動きがやや少ないんですよね。勿体ないです。ここがもっとダイナミックに描かれていたらもっと良かったなあ。
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