専用機やPCで遊ぶだけでなく、スマートデバイスの普及によってデジタル分野も急拡大しているゲーム産業。市場調査会社の IHS Technology がまとめた最新の分析結果によると、世界のゲーム産業は今や、映画や音楽を合わせた数字よりも巨大な市場に膨れ上がっている事が明らかになりました。
IHSの報告によると、2015年における世界全体のゲーム市場規模は920億ドルと見られ、映画の620億ドルと音楽の180億ドルを合算した数字をも上回り、エンターテインメント産業としては世界最大の分野に。
デジタル市場がゲーム産業を牽引
そんなゲーム産業をけん引するのはスマートデバイスの普及で圧倒的に広がったデジタル市場。販売されているゲームの実に8割がデジタルで購入されているのだそう。ちなみに映画は4割、音楽は5割。
「ゲームや映画、音楽のいずれもパッケージ販売が減少する似たような傾向にありますが、ゲームに関して言えば、デジタル市場は驚くほど伸びています。この動きは、2008年から顕著になってきました」とIHSのアナリスト Piers Harding-Rolls氏は述べています。
ゲーム消費の大半は、「46%」を占めるアジア太平洋地域からによるもので、ヨーロッパやアメリカはそれぞれ24%でした。IHSは近い将来、中国がアメリカを追い抜いて世界最大のゲーム市場になるとの見方を強くしています。その際の規模は中国が203億ドル、アメリカが197億ドルと推計。中国はゲームを消費するだけでなく、パブリッシャー/デベロッパーも成長。テンセントに代表される巨大な企業が台頭しています。
「中国や韓国、東南アジアにおけるデジタルファースト(最初からデジタルで販売する形式)の市場は、近年急速に拡大しています。アプリ関連支出の急成長によって、市場のあり方が一変しました。伝統的なPCをベースとしてきた企業も、相当な人員を割いてモバイル対応を進めています」
ゲーム産業において、PC経由の販売額はこの10年で210億ドル増加して340億ドルとなる最大マーケット。しかし王者の立場は安泰ではありません。もう間もなく、2017年にはスマートフォンやタブレット、いわゆるスマートデバイスと呼ばれる端末がPCを追い抜き、2019年には400億ドルに達すると見られています。
E3は伝統的に、家庭用ゲーム機向けや北米市場向けのAAAタイトルが見せる派手な演出が大きく取り上げられがちですが、今年はそれらだけでなく、PCやモバイル分野の著しい成長やゲームビジネスの国際化による潮流の変化を感じられるかどうかも注目されそうです。