英エンターテインメント小売業協会 (ERA, Entertainment Retailers Association) がまとめた2016年のイギリス国内エンターテインメント産業(音楽、映像コンテンツ、ゲーム)の規模は、デジタル販売の拡大やストリーミングサービスの普及によって、53週集計だった2015年と比較して3%増加。売上高は63億ポンドを記録しました。
最近のボトムだった2012年から10億ポンド以上の増加を見せ、回復基調が続いています。
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ゲーム:デジタルがさらに拡大、全体の3/4を占める規模に
ゲーム市場の総規模は前年比2.9%増の29億5720万ポンド。
フィジカル販売(パッケージソフト)は16.4%減の7億7600万ポンドと厳しい状況が続いていますが、2013年にフィジカルを上回り、なお拡大の続くデジタル販売(モバイルゲームも含む)は2016年も二桁成長を達成。12.1%増加して21億8120万ポンドとなり、全体の約4分の3を占めました。
フィジカルが減少する中で、携帯ゲームは2015年と比較して21.3%増と好調で4880万ポンドの売上高を記録。具体的なタイトルへの言及は無いものの、スマホゲーム『Pokémon GO』の大ヒットも追い風となった『ポケットモンスター サン・ムーン』の成功が大きかったと見られます。
ゲームソフト市場 2016年販売規模
フィジカル:7億7600万ポンド(▲16.4%)
デジタル:21億8120万ポンド(+12.1%)
全体:29億5720万ポンド(+2.9%)
2016年最大ヒット作は『FIFA 17』
2016年の最大ヒットタイトルは、250万本を販売した『FIFA 17』でした。販売本数は昨年版の『FIFA 16』とほぼ同規模となっており、安定して高い人気を保っています。
音楽:ダウンロードが縮小する一方でストリーミングサービスが急拡大
音楽ソフトの市場規模は、2015年と比較して4.6%増の11億850万ポンド。
フィジカルはここでも縮小しており、売上高は前年比7.3%減の4億7540万ポンドでした。デジタル販売はストリーミングが伸びており、売上高は前年比65.1%増の4億1850万ポンドとフィジカルに肉薄しています。
ダウンロード販売は26.%減の2億1460万ポンドでした。デジタルのトレンドは、ダウンロードから Spotify や Apple Music、Amazon、Deezer などのストリーミングへと移っています。
ダウンロードとストリーミングを合算したデジタルの規模は6億3310万ポンド。フィジカルを上回り全体の57%を占めています
フィジカル販売が縮小する中で、再び盛り上がりを見せるレコード盤の販売は前年比56.4%増の6560万ポンドと好調でした。
2016年の最多販売アルバムはヒット曲を網羅した「Now That’s What I Call Music 95」で90.8万枚でした。
音楽ソフト市場 2016年販売規模
フィジカル:4億7540万ポンド(▲7.3%)
ダウンロード:2億1460万ポンド(▲26.8%)
ストリーミング:4億1850万ポンド(+65.1%)
全体:11億850万ポンド(+4.6%)
映像:デジタルがフィジカル(パッケージ)を初めて逆転し主流に
映像コンテンツもデジタルが拡大。Netflix や Sky、Amazon、Apple などのサービスが普及したことにより、22.8%増の13億930万ポンドを販売。DVD / Blu-ray といったフィジカルの販売(8億9360万ポンド)とレンタル(4930万ポンド)の合算を上回って、今や主流となっています。
販売の年間トップは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で230万枚でした。
映像コンテンツ 2016年販売規模
フィジカル(販売):8億9360万ポンド(▲16.9%)
フィジカル(レンタル):4930万ポンド(▲21.2%)
デジタル:13億930万ポンド(+22.8%)
全体:22億5220万ポンド(+2.2%)
英国エンタメ産業 2016年販売規模
フィジカル:21億9430万ポンド(▲14.9%)
デジタル(ストリーミングを含む):41億2360万ポンド(+15.9%)
全体:63億1790万ポンド(+3.0%)
データのソース
音楽:フィジカル&デジタル((The Official Charts Company)、ストリーミング(ERAの推計値)
映像:フィジカル(The Official Charts Company)、デジタル(IHSの推計値、EST、TV-VoD、Web ベースの VoD や sVoD サービスを含む)
ゲーム:フィジカル(GfK)、デジタル(IHSの推計値:デジタルオンライン、モバイル、タブレット販売を含む)