任天堂が2016年に詳細を発表予定としている次期ハード「NX」。一般向けに発表されるのはまだ先ですが、主要パートナー向けには開発キットの提供が始まり、早ければ2016年内に発売されるのではとの見方が広がっています。
WSJによれば、任天堂はサードパーティー向けに、NXのソフトウェア開発キットの提供を開始しました。また情報筋からの話だとして、NXの発売が2016年内もあり得ることや、Wii U/3DSを統合するようなプラットフォームとなることが報じられています。
NXの形はまだはっきりしないものの、NXはテレビへ接続するためのベースユニットと、持ち運びが可能なモバイルユニットで構成され、それぞれを組み合わせて使うことはもちろん、別々に使う事も考えられるのだとか。
ハードの近くでないと能力を発揮できないWii U GamePadの欠点を埋めるような構成に?
また、競合他社から見劣りする環境となったWii Uへの批判を受けて、NXでは業界をリードするチップ構成となることを目指すとも。今世代の任天堂機の欠点を潰していけば、そうしたハードになりそうですが、すべての要求を満たすとなれば、価格もそれなりになってしまいそうですけども。
任天堂は以前からプラットフォームのアーキテクチャの統合を目指しており、2013年にハード開発部門を再編。また2015年9月にはこのハード開発部門とシステム開発部門が統合される組織変更が行われました。
岩田聡前社長は2013年の開発部門再編の際、以下のようにアーキテクチャを統合する理由を説明しています。
将来のプラットフォームのアーキテクチャを統合するためのプロジェクトも、昨年からスタートしています。プラットフォーム統合というのは、携帯ゲーム機とホームコンソールゲーム機を1種類にするという意味ではなく、アーキテクチャを統合することにより、フォームファクターや性能が異なっても、ソフトをつくるための作法が揃い、ソフト資産を相互に転用したり、OSや内蔵ソフトの移植性を高めたりすることを目的とする試みです。
また岩田前社長はその1年後の2014年、Apple の iOS や、Google の Android を例に挙げ、任天堂にも今後、彼らのような共通プラットフォームが必要であるとの考えを示しています。
フォームファクター(ハードウェアの大きさや形状)が一つになるかどうかは、私は分かりません。逆に増えるかもしれません。といいますのは、今(プラットフォームが)二つで限界なのは、アーキテクチャーが三つ四つにもなったら、それこそどのプラットフォームもソフト不足になってしまうからです。
例を挙げますと、アップルさんがいろいろなフォームファクターのスマートデバイスをどんどん出せる大きな理由は、一つのソフトの書き方の作法が全部のプラットフォームに適応できるようになっているからです。アップルさんの場合は共通のiOSというプラットフォームがあります。また、Androidのたくさんの機種があっても、ソフトの供給にみなさん困られないのは、Androidという共通のプラットフォームの(ソフトの)書き方でいろいろな機種で動くからです。
よって、「任天堂のプラットフォームもそうならねばならない」ということが一番大きなポイントです。ハードが1種類になるかどうかは未来の要求次第ですし、分かりませんが、少なくとも「ソフトを一個一個のプラットフォームに向けてバラバラにつくっていく」、あるいは「プラットフォームの乗り換えのたびに大騒ぎが起きて、いつもプラットフォームの序盤でお客様に『品揃えが足りない』と感じさせてしまう」状況を今後はどうしてもなくしたいという思いでやっていますし、その成果はおそらくこれからお見せできるのではないかと思います。
NXというハード、あるいはプラットフォームは、おそらく任天堂が以前から取り組んできたアーキテクチャ統合プロジェクト初の製品化。
端末が1つのように思われていますが、任天堂が目指している先にiOSやAndroidがあるのであれば、NXもテレビに接続して使うシンプルな構成から持ち運びできる携帯型、あるいはその両方など、様々な構成で利用できるデバイスなのかもしれません。
デベロッパー向けサイト Nintendo Developer Portal を立ち上げ
任天堂はまた、任天堂プラットフォーム向けのゲーム・ツール開発、およびソフトの販売や管理を行なうパートナー向けのサイト「Nintendo Developer Portal」(developer.nintendo.com)を立ち上げ。このサイトでは、 ゲーム開発者やツール&ミドルウェア開発者、パブリッシャーのアイデアを形にし、世界中のユーザーへ向けて新しいエンターテイメントを発信するサポートをしていくとしています。