勝利を求めず勝利する ― 欧州サッカークラブに学ぶ43の行動哲学
ラインハルト・K・スプレンガー (著), 稲吉明子 (翻訳)
出版社: 英治出版
サッカー界における43の行動哲学を通じてマネジメントを学ぶヒントを説いた一冊です。著者はサッカー好きなドイツのコンサルタント、ラインハルト・K・スプレンガー。テーマに合う実際に試合で起きた事例や、監督の言葉を織り交ぜて著者の考えが綴られています。
日本だと野球で喩えられることが多かったりしますが、サッカーの盛んな地域になるとそれがサッカーに置き換わるんですね。しかも「スピード化」が進んだ現代ビジネスにおいて、より親和性が高いというか比喩が現場に適したものになっています。序文は元ジェフ千葉GMの祖母井さんが寄稿。
- 目次:
- 「結果」ではなく「成功」を売れ
- マネジャーは「環境」をつくれ
- 意志は才能に勝る
- 成功法則を信じるな
- ゴールは目的ではない
- いつも違うミスをしろ
- 「敗北」とのつき合い方
- 「後継者選び」を怠るな
- 「信頼」がスピードを上げる
- 勝利を求めず勝利する〔ほか〕
章ごとのテーマに沿った試合であるとか、監督の言葉などが掲載されていて、よくこれだけテーマにマッチする言葉なり試合なりがあるもんだなあと思ったんだけど、オシムも「人生のすべては、サッカーから学ぶことが出来る」と言っているように、試合の90分は勿論選手と監督の関係、クラブ運営などから学べることはたくさんあるんだよね。
サッカークラブの一つの理想として、スペインのFCバルセロナが紹介されています。テーマの通り、勝利を求めず勝利する(勝利そのものではなく、勝つために努力する)ことを実践し、クラブの最も重要な課題は金儲けではなく社会貢献することだと、胸にはユニセフのロゴを入れスポンサー収入を得るどころか逆に支払うという社会貢献を実施。21世紀の企業には社会貢献意識が必要だと以前読みましたが、バルサはそういうことを既に実行しているんですよね。
ベンゲルやクリンスマン、浦和のフィンケ監督だったりと有名監督の名言の数々が鏤められていて、それを読んでいるだけでも面白い。戦術本もいいけれどこういうのも面白いなあ。キャッシュフローが潤沢ではない小さいクラブに必要なことなんかも書かれていて興味深い。
「チームはミスを犯す。なぜなら、そういうものだから」
といい、得点のために「リスクをとる」という勇気を思い出させたクリンスマン。ミスは避けられないものであり、ミスをした後のことにリソースを割く事で悪影響を軽減させていきます。
「短所を分析したり強制したりしても何にもならない。しなければならないのはそんことではなく、選手が能力を発揮出来るポジションに配置することだ」
と選手の特色を活かして適材適所にいかに配置するかを話すベンゲル。
など、優れた監督は戦術だけではなく人心掌握にも長けていることが掲載されている言葉からも伝わって来ます。
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