「海ってなに?」そんな少年の問いかけから始まる海洋ドキュメンタリー映画『オーシャンズ(OCEANS)』。「アース」や「ディープ・ブルー」を比較に出したキャッチが出ていましたが、制作は別会社。監督は『WATARIDORI』を手掛けたジャック・ペラン。
最新技術を駆使して撮影されたという映像は確かに凄いんだけど、長時間かけて撮影された割りには出てくる種類は思ったほど多くないし、映画の途中からは、生物の乱獲シーンや廃棄物で溢れた海など環境保護へのメッセージが中心に過ぎていてげんなり。もっと撮り溜めた海洋生物たちの映像美や生態を見せてくれるドキュメンタリーなのかなと思っていたからね。映像で魅せて欲しかったなと思う。アザラシやセイウチの母子の愛、イルカの捕食、イワシやアジの群れ等は良かっただけにね。
必要な部分だけを切り取られ、再び海に棄てられて海底でもがくサメや、網に深く絡まりそのまま命を落としてしまう魚たち(ただしこれらの残酷な場面はアニマトロニクス(コンピューター制御のロボット)による再現映像)。この辺りはドキュメンタリーの域を超えプロパガンダ的にも見える。
博物館では、これまで絶滅していった海洋生物の剥製がずらり。ただ綺麗なだけでは終わらせず、ストーリー性を持たせるために環境保護がテーマになるのはありがちとはいえ、そちらに時間を割きすぎているのはいただけない。
素晴らしい映像を撮れたのであればそちらをどんどん見せて、見ているうちに自然と僕らの海を守らなければという意識に持って行けるような構成にして欲しかったかな。
|