任天堂のQOL事業、最初のテーマは「睡眠と疲労の見える化」。傍に置くだけで自動計測、クラウドで分析・評価、個別の改善策を提案


 

任天堂は新たに展開予定の「QOL事業」について、最初に扱うテーマを「睡眠と疲労の見える化」であると発表しました。

既に睡眠をテーマとする商品やアプリが多く出回っている中で、岩田社長がこの領域に踏み出そうと決断したのは、「Five “Non” Sensing」と呼ばれる、これまでの計測に必要だった5つのことを不要にして、睡眠状態や疲労状態を自動計測することに実現のメドが立ったからだといいます。

5つの “Non” を実現する自動計測

「Five “Non” Sensing」は、Non-Wearable(身につける必要が無い)、Non-Contact(身体に触れる必要が無い)、Non-Operating(操作の必要が無い)、Non-Waiting(測定を待つ必要が無い)、Non-Installation Efforts(設置の手間が不要)からなるもので、機器を身体に取り付けたり、あるいは操作する必要がなく計測が可能。ストレス無く継続して使用する上で非常に重要な要素です。

これらを実現するデバイスとして、任天堂は『QOLセンサー』を用意。利用者が行うことは、このQOLセンサーをベッドサイド、あるいは布団の横に置いておくだけ。身につけたり操作したりといったことはないのだと言います。

任天堂は今回の「睡眠と疲労の見える化」実現のために、睡眠呼吸障害や慢性閉塞性肺疾患、他の慢性病の治療、診断および管理のための医療機器を開発・製造・販売しているアメリカのResMed社と業務提携。さらに、疲労科学分野で最先端の研究を進めている専門家、渡辺恭良先生、倉恒弘彦先生、田島世貴先生と疲労状態推定技術を共同開発中とのこと。

自動計測された睡眠・疲労状態はQOLクラウドサーバー群に送られ、分析・評価。個別の睡眠・疲労状態から、QOL改善のための行動がオススメされていくとのこと。たとえば、食事や運動の選択など。

QOL向上プラットフォームの基本要素

任天堂は「QOL向上プラットフォーム」の基本要素を、Five “Non” Sensingにより、誰もが容易に取り組めるようにすること。娯楽企業の「おもてなし」と「続けられる」ノウハウにより、毎日楽しく続けられるようにすること。結果的に、QOLが向上していくサイクルを生み出すこととまとめています。

「見える化」にスマートデバイスを活用。QOL改善にゲーム機を使用する場合も

QOL事業は、任天堂が「娯楽」を再定義し、事業領域を拡大したことで生まれたものですが、ビデオゲームデバイスにも関連。「睡眠と疲労の見える化」にはスマートデバイスが活用されていくという話ですが、QOL改善活動において、ゲーム機を活用していく事も考えられるとのこと。QOL対応『Wii Fit』や『Wii Sports』、あるいは別の商品が出てくる可能性が。

これまでは、ビデオゲーム専用機だけが任天堂のプラットフォームでした。以前もNNIDを介した繋がりの話が出ていますが、今後はQOLセンサーやクラウドサーバー群、そしてスマートデバイスも含め、これまでの考え方にとらわれずに拡大して考えていくということです。

想像していた以上に本格的なQOL事業。任天堂ならではの娯楽要素はいまいち見えてきませんが、長く続けられる仕組みが整えられています。製品化できなかった「Wiiバイタリティセンサー」の教訓が「Five “Non” Sensing」で反映されているのは面白いところ。

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