『メトロイド ドレッド』開発スタジオが任天堂との協業を振り返る


 

Nintendo Switch ソフト『メトロイド ドレッド』を任天堂と共同開発したスペインの開発スタジオ MercurySteam。同社の CEO である Enric Álvarez 氏が海外メディアGamereactor のインタビューに応じ、『メトロイド ドレッド』のことについて語っています。

『メトロイド ドレッド』は『メトロイドII RETURN OF SAMUS』のリメイク作であるニンテンドー3DSソフト『メトロイド サムスリターンズ』に続く、任天堂と MercurySteam の共同開発プロジェクトの第2弾。『メトロイド』を理解するスタジオの手によって、10 年以上休眠状態にあった 2D メトロイドは見事な帰還をはたしました。

任天堂 × MercurySteam による 2D メトロイド

Enric Álvarez 氏は任天堂との仕事を夢のような時間だったと振り返ります。日本のチームと緊密に仕事をし、毎週のようにミーティングを行い、頻繁に訪問したと。「とても素晴らしい経験でした。私たちの考え方が一変するような、ゲームチェンジャーな経験でした」

MercurySteam が手がけた『メトロイド サムスリターンズ』と『メトロイド ドレッド』はいずれも高評価を獲得。『メトロイド ドレッド』はセールスの観点からも非常に好調でした。Álvarez 氏によれば『メトロイド ドレッド』は『メトロイドプライム』を上回る世界 300 万本超を販売。最も売れた『メトロイド』ゲームとなっています。

「私たちはお互いによく理解し合えている」と当時を振り返る Álvarez 氏。

「時間の経過に連れて私たちは友人になったと言えると思います。彼らは才能に溢れ、とても勤勉な人たちです。任天堂には他にはない最高の労働倫理があり、新しいアイデアを受け入れ、試してみることにオープンです。一方で私たちもまた、『メトロイド』フランチャイズに自分たちの足跡を残したいと意欲を持っており、アイデア出しや提案をし続けました。そしてその多くは最終的な製品に盛り込まれています。私たちは任天堂とのコラボレーションをとても誇りに思っています。そしてそれは、先に述べたように夢に見た最高の開発体験の一つでした」

開発体制はカオス、ではなかった?

『メトロイド ドレッド』の開発が混沌としていたなどと批判的な報道が出たこともありました。しかし Álvarez 氏はこれを否定。「開発が混沌としていたとは思わない」と発言しています。

「開発が混沌としていたとは考えていません。混沌とした開発がフランチャイズ史上最高のゲームに結びつくでしょうか。300 万本以上もの販売になるでしょうか。TGA アワードを受賞するでしょうか。この件について私が言えることは以上です」

任天堂との関係は今後も続く?

2 本の 2D メトロイドで任天堂との関係が深まった MercurySteam ですが、今後さらなる『メトロイド』タイトルを手がけることはあるのでしょうか。MercurySteam はすでに新作『メトロイド』に取り組んでいるという噂もあります。

Álvarez 氏は「今進めているプロジェクトに関して言えることは何もありません」と予想通りの切り返し。「単純に、ノーコメントで十分」です。

それでもひとつ、ヒントをくれます。

「私が言えるのはひとつだけ。ホセ・ルイスはまだスタジオに在籍している、ということです」

ホセ・ルイス氏は『メトロイド サムスリターンズ』と『メトロイド ドレッド』でクリエイティブディレクターを努めています。もし次のプロジェクトがあるのなら、任天堂の坂本賀勇氏とともにキーマンとなる人物です。

任天堂が協業する場合、意思疎通のしやすい国内メーカーとの付き合いがどちらかといえば多い印象ですが、国を限定しているわけではなく、お互いを理解し合えるスタジオであれば国・地域を問わず、海外であっても何度も仕事に結びつくことがあります。

MercurySteam や『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス HD』『ゼルダの伝説 スカイウォードソード HD』の Tantalus Media はそうした会社のひとつですし、『マリオストライカーズ』『ルイージマンション』シリーズを手がけるカナダの Next Level Games は今では任天堂傘下に。

『メトロイド サムスリターンズ』と『メトロイド ドレッド』で開発力と『メトロイド』への深い理解を示し、実績を2つ残した MercurySteam。3度目の『メトロイド』も可能性は十分にあるのではないでしょうか。


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