ファミ通誌面にて掲載された任天堂・野上恒氏のインタビューが、ウェブ版でも公開されました。2015年5月の発売から1年以上が経ってもまだまだアツい『Splatoon (スプラトゥーン)』のこれまでの取り組みから現状、そして今後の展望など興味深い内容となっています。
夏まで延長とは言われていたものの、任天堂からはこれといって終了のアナウンスはありませんでしたが、このインタビューでコンテンツ追加のアップデートが終了し、ゲームボリュームが現段階で完成していることが明らかに。またロック色の強かったJAPAN EXPO版シオカライブが、実は日本と同じアレンジで行われていたこと、プレイヤーのウデマエ分布、ファンと一緒に育った任天堂の新IPを大切に育てていきたい想いなどなど。
Contents
ゲームの現状について
- ガチマッチとレギュラーマッチの参加割合はほぼ半々。意外に感じるが、最近遊び始めた方も多くいるし、先日のアップデートでレギュラーマッチのポイントボーナスを増やした影響があるのかもしれない。
- プレイヤー人口は年末年始と比較すると落ち着いてきたが、ラストフェスで参加者が非常に増え、その後も一定の接続数をキープしている。
- プレイヤー全体のウデマエは、C帯はすぐに抜ける人が多くなるが、B帯、A帯、S帯はだいたい同じくらい。S+に到達する人は一握りで全体の数パーセント。
ゲームのアップデートについて
- 1月のアップデートで、当初計画していたブキ追加は完了していた。ブキチセレクションはそこからの追加になったので、全体を見直して、Vol.1では「おもしろそう」「使いたい」と思ってもらえるような組み合わせを目指した。Vol.2ではこれまでとは違った戦い方ができそうな組み合わせを選んだ。
- あえて作っていなかった組み合わせもあったが、アップデートによりこれまでよりも多角的に対戦のバランスを取れるようになった。そのため、いままでに無かった組み合わせが作りやすくなった。
- 「ブキチセレクション」はVol.2で終わり。Vol.3の予定は無い。
- 要素の追加も終了となり、『スプラトゥーン』のコンテンツボリュームはこれで完成。ただし不具合の修正や調整の可能性はまだある。
- 野上Pはもともとはチャージャー使い。でも最近よく使うブキは「プライムシューター」。ノーマルとベリーどちらも使う。他には「スプラシューターワサビ」も使う。
amiibo について
- 『amiibo』の制作には時間がかかる。(シオカラーズと色違いの)準備は早い段階から始めていた。初めから計画があったわけではなく、“皆さんに喜んでいただける企画を考えていたら、だんだんと噛み合っていった” という表現が正しいかもしれない。例えばシオカラーズの『amiibo』でシオカライブが見られるように、後から決めたことも多い。
- 『amiibo』の素材は制作チームが凝りに凝ってくれた。造形はアートディレクターの井上氏が監修し、細かい部分までこだわっている。
- 色違いはいわゆる別注品。フィギュアの世界で言うところのリペイント。今年に入ってから『スプラトゥーン』を手にした人にも新しく『amiibo』を手に取る機会を用意したかった。連動コンテンツは同じだが、ゲーム中に出てくるキャラクターの姿が違っている。
シオカラーズほか、音楽・ライブについて
- ニコニコ超会議2016で行った「ガチ盆祭り」は、多くの方に参加したという実感を得られるようなイベントにしたいと思い、盆踊りを企画した。ちょうどピッタリの『元祖正調塩辛節』がサントラに入っていた。
- JAPAN EXPO でのシオカライブについて。公開されている映像は歓声を小さくしてあるが、現地では歌が聞こえなくなるほどすごい歓声だった。特に『シオカラ節』では、最初から最後までずっと「ハイ! ハイ!」という歓声が続いていた。ヘッドホンで聞くとうっすら聴こえる。
- アレンジが日本版と違うように聴こえるが、実はアレンジ自体は日本のシオカライブと同じ。メンバーが変わったことで現地ミュージシャンのカラーが前面に出て全然違うものに聴こえた。
- ワールドツアーをやりたい気持ちはあるが、なかなか適した場所が無い。彼女たちをこちらの世界に呼ぶためにはいろいろと準備も必要。
- シオカラーズ以外のバンドのライブは、いまのところ具体的な計画は無い。もしライブを開催するとしたら、シオカラーズのライブのようにゲームのコンテンツと絡めたものにしたい。
フェスについて
- フェスはラストフェスで本当に最後。発売前の Splatoon Direct でも宣言していた(確認できず)。
- 「アオリVSホタル」というお題も、最初はもう少し早い時期に使おうとも考えていたが、シオカラーズの注目度がどんどん高まってきたため使うタイミングが難しくなった。その後で『amiibo シオカラーズ』の発売が決まり、ラストフェスとして2人の対決をお題にした。1年間の総仕上げというか、ラストフェスがエンディングのようなイメージ。
- 他企業とのコラボフェスは「赤いきつねVS緑のたぬき」と「午後の紅茶 レモンティーVSミルクティー」は発売前から計画していた。それ以降は発売後にコラボ先企業と話を進めながら決めていった。
- 継続を目的にせず、フェスらしいお祭り騒ぎができてるうちに区切りをつけようと考えていた。
- 一番思い出深いフェスは、良くも悪くも第1回。印象に残っているのは「きのこの山VSたけのこの里」。発表時は関連ワードがTwitterのトレンドに入った。
- Miiverse を中心に第3、第4の勢力が生まれるのも面白かった。
- フェス以降の「スーパーサザエ」入手法は、たくさん勝ってジャッジくんに話かけるといいことがある。
第2回スプラトゥーン甲子園について
- 第2回スプラトゥーン甲子園は、第1回が終わった頃からドワンゴと話を進めてきた。前回は参加倍率が高いところだと10倍を超えるような状況になったので、今回は参加人数を出来る限り増やす方向で調整し、前回の1.5倍くらいの方に参加してもらえるようになった。
- 今回はギアを自由に選べる。コーディネートも楽しめる。
- 各地区の決勝戦はナイター試合に。夜ステージで戦える機会。ちょうど日が暮れる頃になるので。
- 8つのステージはニコ生のアンケートで決定(ハコフグ倉庫、キンメダイ美術館、ショッツル鉱山、デカライン高架下、モズク農園、アンチョビットゲームズ、マヒマヒリゾート&スパ、ヒラメが丘団地)。
コラボについて
- タワーレコードのスプラトゥーンコラボは、タワレコ側から「今年は『スプラトゥーン』で」と話をいただいた。『スプラトゥーン』の最初のCMが渋谷の街を塗るところから始まったので、渋谷店をインクでデコレーションするアイデアが出た時は帰ってきたというイメージがあった。
- ラストフェスの応援企画について。任天堂の近くにある、京都のとある店舗に野上氏と井上氏のイラストがある。井上氏のイラストはかなりの反響があった。その店はホタル派だったが、不平等にならないようアオリ派の店でもイラストを残してある。2人がどちら派かはヒミツ。
- ファミ通ではアンケートを2回実施し、2回ともアオリが47%、ホタルが53%という拮抗した数字になった。
スプラトゥーンのこれから
- 『スプラトゥーン』の今後について。アップデートに関してはやりきった感がある。フェスやアップデートも一区切りとなるが、甲子園などのイベントで今後も盛り上げていきたい。
- 続編等について。ファンに支持されてそれに応えるようにアップデートをしてと、ファンと一緒に育ててきたコンテンツだと考えている。なのでこれからも大切に育てていきたい。
- スプラトゥーン甲子園のような舞台では、また新しい発見があるんじゃないか。新戦略が生まれて、それに対抗する手段が生まれて、さらにその対策が……となることを期待している。イカ研究員としてそういった部分を研究し、今後の研究成果に活かしていきたい。
- 『スプラトゥーン』はプレイヤーの皆さんが支えてくれたから1年以上やってこれた。今後も『スプラトゥーン』の研究は続けていくので、どこかで成果を見せられたらと思う。
gamescom 2016で行われたユーザー質問への回答も任天堂ヨーロッパから公開されています。インタビューと重複する部分もありますが、興味深い内容となっています。