山形戦もいよいよ佳境!な単行本第21巻絶賛発売中!&限定トレカ付きムック「GIANT KILLING extra Vol.07」が好評発売中!! な、『GIANT KILLING』(ジャイアントキリング)第230話。
一点勝ち越したくらいで勝ったつもりかと、強烈なミドルを見舞った八谷。川崎サポーターもその姿勢に呼応するかのように、大きな声援で後押しする。
「オッオーカワサキー カワサキーフロンティーアー!!」
そしてネルソン監督も動きました。MF近藤を下げてFW鎌田を投入。3トップにして前線のターゲットを増やしてきます。
「そうこなくっちゃね」とまた悪い顔の達海。最後までお互いガンガンやりあってこそ、面白いゲームになるってもんだ。とはいえ最後にはもちろん、そちらには泣いてもらうけどな。完全ヒール。主人公なのに。
スタジアムの盛り上がりを感じ、VIP席にいる大江戸通運副社長がぽつり。
「川崎に勝代いうことは、それほどまでに大きなことなのか?」
「そ、そうです!何せ向こうは昨年も優勝争いに絡んでるチームですからね!」
とっさになんとか返す後藤さん。ETUは前半戦川崎に敗れているし、その相手にホームで先制されながらも逆転したとなれば、サポーターならずとも興奮すること間違いなし。去年までのETUを知るものにとっては、単に打ち合いのゲームという以上に、これからの期待も生まれる、観ている者に希望を与え、ワクワクさせてくれる。達海の作った今年のETUはそんなチームであることを伝えました。
ナイスコメント!と思いきや、こういう試合展開なら観客が盛り上がる事くらい私にだってわかる。と冷静に返されてしまいます。ならばどうだ、これがスコアレスのゲームだとしても、君は今のように饒舌でいられたのかね?そういわれ、帰す言葉が無くなってしまった後藤さん。沈黙。助け船を出したのは笠野さんでした。
「仰るとおり、今回の試合はある意味当たりです。ここまでドラマチックで痛快な展開のゲームは、なかなかそうあるもんじゃないですよ。今日初めてスタジアムに来たような人に、サッカーの魅力を伝えるのにはもってこい。そんな試合です」
副社長もそんな感じでハマってくれたら良かったんですけどね。はは。
「しかしね、たとえ0-0のスコアだったとしても、後藤の言うことは大して変わらなかったはずですよ。ウチの選手達はゴールを奪おうと必死になってプレーしたはずです。そういう気持ちの伝わるプレーを、今季のチームの選手達はしています。いつでもワクワクさせてくれますよ。達海の作ったチームはね」
「それにね、副社長。たとえロースコアの試合だろうと、面白い試合を、面白いと言える。もう、この国のサッカーファンは、それくらい目が肥えてますよ。これって実はすごいことなんですよ、副社長」
上手いトラップを見せるだけで歓声が起こったり、選手への期待値によってブーイングの意味が違ったり、海外のトップレベルとまではまだ言えないかもしれない。
しかし、ほんの少し前までワールドカップに出るのが夢のまた夢だったこの国が、プロリーグが出来て20年も経たないうちに、ワールドカップへ出場し、アジアチャンピオンになり、ヨーロッパで活躍できる選手を多数輩出しはじめている。こんな短期間で急成長を遂げた国は、世界を見渡したって他にないんです。
なぜ、そんなすごいことをなしえたのか?
それは、この国にプロリーグが生まれたから。ボールを蹴る子供達にはプロになるという明確な目標が生まれ、サッカーに魅せられた人達は、より高いレベルへと選手を後押しした。
サッカーブームの頃のように、スポンサードしたからといって儲かる時代ではもうない。ただ、それでも支援してくれる企業のおかげで、たくさんのクラブは潰れずにすんだ。日本のリーグは存在し続けられた。子供達は夢を持つことができた。
「今の日本サッカーの発展は、あなた方スポンサーさん達のお陰なんですよ、大江戸通運さん」
存続し続けられたのは、発展できたのはスポンサーのお陰なんです。届いた?
「子供達がETUのユニフォームに憧れるように。大人達がこのユニフォームこそ最高だと思えるように。ムネの大江戸通運のロゴが、誰の目にも輝いて見えるように。俺達は全力を持って仕事に取り組みますよ。ですから是非とも、これからも俺達のチャレンジを見守っていってくれませんか、副社長」
表情を変えず、黙って聞いている副社長。といったところで今週はここまで。笠野さん独演会でした。出来ればプレゼンは会長がやってくれたらいいんだけど、10年前の絡みを考えるとETUは達海と笠野さんが両輪ってことなんですよね。
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