ホームで格下に先制されたETU。反撃はここから。なジャイアントキリング第396話。
いつものように副会長は
「なーにだらしないことをやっとるんだぁ!! 甲府なんて去年2部のクラブには、圧倒して当然だろが!!」
と怒鳴り散らしていますが、こうなることが見えていたような笠野さんは
「準備を怠れば格上が格下にコロリとやられちまうってのはよくある話だ。果たしてETUは、フロント含めこのゲームに向けてきちんと準備ができていたのか」
と気の緩みを感じていたことをやんわりと指摘します。それを聞いて、達海の行動が、緩んだ空気にあったチームの気を締めなおそうとしてのものだったことに気がついた後藤GM。しかし時既に遅し。ゲームは既に始まっており、時間は待ってはくれません。
追いかける展開で集中して守る甲府を崩し切れず、攻めあぐねるETU。残留のために勝ち点3を取りに来た、攻守にやるべきことがハッキリとしている甲府に対して、立て続けに代表選手が誕生し、お祭りムードが抜けきらなかったETU。
喜ばしいニュースであることは間違いなかったわけですが、切り替えを出来ぬまま試合に突入してしまいました。まあしかし、このまま黙って甲府に勝ち点3をプレゼントするつもりは、達海は毛頭ありません。ハーフタイムで巻き返しを図ります。出た、主人公なのに悪い顔。
さて、ロッカールーム。電話のこともあって、気持ちを露わにする清川。他の選手たちに、石浜との話は伝わっていないわけですから、清川の態度に皆ぽかーん。そりゃ当然の反応。しかし気にする様子もなく清川は続けます。
「こんなんじゃないでしょ…東京のクラブってもっと、カッコイイもんじゃないスか!! 相手が根性丸出しで突っ込んできてもテクニックでさらりとかわしちゃったり、敵がボール持ってても、敢えて持たせてるような試合巧者ぶりだったり、なめてるようでムカつくんスけど、やっぱり強くてかっこ良く見えちゃうような、そういうもんなんスよ!俺が憧れた都会的なサッカークラブは!」
急にアツくなっちゃった清川に皆ついていけず。しーん。
「バカかお前は。それはウチのお隣さんだ」
と珍しく冷静なツッコミを見せたのは黒田。ですがこれも石浜との電話で出ていた話で、清川に燃料を投下。いつになく喋り倒します。そして
「もうダサいのはやめましょうよ!東京のクラブは、もっと強くないと駄目なんスよ!!」
黒田をはじめ、皆ついていけてないようですが、1人の理解者がいました。王子です。普段はマイワールドに篭もる王子ですが、達海の狙いをいち早く察したり、こういうのは鋭いですね。さすがモテ男。
「確かに、ボクらはこのままじゃおしゃれな街に住みながらも、一向にセンスが良くならないような輩と同じかもしれないね。格好悪いと思われるのだけは、ボクもご免だ」
と清川の思いは伝わり、王子なりの解釈で言い直します。これもまた他の皆には伝わったかどうか分かりませんけど。
そんなところへ達海と松ちゃんが到着。雷が落ちるのを不安がる松ちゃんですが、選手達の顔を見て達海はすぐに、彼らのスイッチが入り直したことを察知。この辺りも、シーズン序盤とは違い成長を感じるところですね。1点ビハインドの展開ですが、残り45分で首都クラブらしい戦いを見せられるのかどうか。