任天堂、WiiU版『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は GamePad との2画面ゲームプレイを特色としない


 

任天堂の Wii U が他の据置ゲーム機と異なる部分として、コントローラ「 Wii U GamePad 」にタッチ操作が可能なディスプレイを持っている特徴があります。任天堂も大なり小なり、賛否はあるにせよ TV と GamePad の2画面をゲームに組み込んで設計し提案してきました。

ところが、Wii U で最後の大作となりそうな『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』では、このハードを象徴するフィーチャーはどうやら使われることはありません。

HD リメイクした過去2作は GamePad を活用

任天堂は Wii U で『ゼルダの伝説』最新作を開発するにあたり、「ゼルダの当たり前を見直す」をテーマに掲げていました。そしてその間に、過去の2作品『風のタクト』『トワイライトプリンセス』を HD 化して発売。

両タイトルで GamePad 機能は、マップの表示やアイテム管理などの形で利用され、最新作にも活用されるものだと思われていました。また『BotW』がTGA 2014で紹介された時点では、マップの表示に GamePad が使われていました。

最新作はシングル画面の体験にフォーカス。NX を意識?

ところが奇妙なことに、E3 2016にプレイアブル出展された最新ビルドでは、この機能が取り払われました。シーカー・スレートと呼ばれている、GamePad にも通じるタブレット端末のようなテクノロジーが登場するにもかかわらず、『BotW』はテレビの1画面にフォーカスしたシングルスクリーンのゲームプレイになっています。マップ等の情報もテレビ画面内に表示する形に変更されました。

「GamePad に何かを表示して、TV画面との間で視線を行ったり来たりしていると、プレイヤーが体験するゲームプレイやゲームへの没入感の妨げになっているんじゃないかと気がついたんです。たとえばカーナビはダッシュボードにあるかと思いますが、これが自分の膝の上にあったなら、事故につながってしまいます」

青沼氏は Wired のインタビューの中でこのように述べ、ゲーム世界への没入感を優先し、2画面機能を省いて1画面にした理由を説明しています。GamePad 活用としては、ジャイロ機能を使っているほか「Off-TV Play」に対応。テレビから離れて世界の探索を楽しむことができます。また Wii U PRO コントローラーで遊ぶこともできます。

『ゼルダ BotW』は、任天堂が2017年3月に発売予定の新型ゲーム機「NX」にも対応。Wii U 版と“同じゲーム内容・体験になる”と言われています。ひょっとすると、Wii U 版で GamePad との2画面ゲームプレイを採用しないのは、NX 版のことも考慮しての判断かもしれない?

2004年発売のニンテンドーDSから数えると、任天堂は10年以上2画面のゲームプレイを提案し続けてきました。その中で、2画面の良さも勿論あったわけですが、もしかすると「NX」では伝統的な形式に戻ろうとしているのかもしれません。

Wii U GamePad の活用例

青沼氏やゼルダチームは Wii U GamePad の特徴的な機能を使わない決断をしたわけですが、GamePad を見ている間はテレビ画面を見ることができない不自由さを逆手にとってゲームデザインを行った『ゾンビU』や『スプラトゥーン』のようなソフトもあります。

また『BotW』と似たようなジャンルにおいても、『バットマン:アーカム・シティ』や『アサシンクリード』『ウォッチドッグス』『スプリンターセル ブラックリスト』といったタイトルでは、2画面をうまくゲームデザインに取り込んでいました。


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