実況席のサッカー論 (単行本) 実況席のサッカー論 (単行本)
山本浩、倉敷保雄 (著)
出版社: 出版芸術社

日本を代表する2大サッカー実況アナウンサーの対談本。ということで、ファンなら読まずにはいられない1冊。とはいっても、読んだのは書籍化されてから大分時間の経ったつい最近のことなのだけれど。

元NHKアナウンサーで、現在は法政大学スポーツ健康学部教授の山本浩氏と、スカパー!やJ SPORTSでの実況やFIFA futbol mundialでお馴染みの倉敷保雄氏という、サッカー好きなら誰もが知っているサッカー実況の2大カリスマ。

目次:
第1章 サッカーを語るということ(粒だてがないスポーツ
サッカーよりも野球の時代
日の丸の向こう側 ほか)
第2章 サッカーを語る言葉(オフサイドラインの色?
ボディシェイプって何?
短い単語で絵を描く ほか)
第3章 「私たち」「僕たち」と日本のサッカー(天井の低い体育館での戦争?
声は大地から湧きあがっています
私たちそのものです ほか)

実況アナから見たサッカーということで、これまで読んだ本とはまた違った角度からサッカーが見えてきて、非常に面白く読めました。基本的には、倉敷さんもしくは進行の人が山本さんに尋ねていく形で進んでいきます。

実況にまつわる話からはじまって、後半は国内サッカーのありかた、そして教育にまで発展してしまったりして。

J リーグの開幕する1993年以前は、国内スポーツと言えば野球一色で、サッカーがコンテンツとしての体を成していなかったこともあって、相当苦労があったようです。その頃からコツコツと下地を整えていたんですよね。継続は力なりで、違うジャンルで実況人生をスタートさせたお二人も、今や国内のサッカー実況の代名詞的存在に(山本さんは引退気味ですけれど)。

前半部分にあるお二人の実況論は非常に興味深いです。ノウハウが無かった頃からの試行錯誤が見て取れて、だからこそ山本さんなんかは先駆者として独特の言い回しで試合を伝えられるようになっていったんだと思う。

ボールの動き、エネルギーがターンするところに言葉を打つわけです。ちょうど杭を打つようにそこに打てばいい。「シュート」「ドリブル」「折り返し」と行動を言うわけです。あるいはボールに触れた選手の名前を言うだけでもいい。ボールの軌跡がそこで杭を打たれて、また次のエネルギーで動いていく。

ドイツW杯で話題になった日本の試合開始時間に関しても、山本さんは自分の推測ですけど、としながらも、日本の広告会社の影響よりも日本代表というソフトに魅力が無かったせいで昼間に2試合組まれたのでは。としています。

ブラジル戦に関しては、現地の人の感覚として日本代表の試合はどうでもいいけれどブラジル代表の試合は見たいので、仕事終えてから見られる夜の開催になったと。なるほど、こういう考えも納得出来ます。この事は第2弾の方でも触れているので、相当気になっているんでしょうね。

さらにはスタッフの構成についても言及していて、トータルで50人選手・スタッフを連れて行ける中で、他国の代表はメンタルケアのために牧師を連れていたりするのに、日本はその部分を軽視していて、そこに広告会社のスタッフを入れていた。なんてことも。まあこれでは勝てませんね。ジーコがインタビューで文句言っていたのも頷けます。

お二人の実況名言集も載っていたりして、なかなか濃い1冊でした。

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