悪人
吉田 修一 (著)
出版社: 朝日新聞出版

映画化でも話題の小説『悪人』を文庫でようやく読みました。文庫では上下巻に分かれていてきついのかなと思ったけど、でもそんなに文章量は多くなくて、重たいテーマに見えたけど結構読みやすかった。

登場人物が結構自分勝手というか利己的な描写が多くて、そこがリアルに見えたりそうでもなかったり奇妙な感じ。


「誰が悪人なのか?」

というテーマ。今現在日本で起きている事件も少なからずそうなんだろうけど、最後のスイッチを押した(押させられた)人は果たして「悪」なのかどうかっていう。そりゃ罪を犯しているのなら、犯罪者として法で裁かれるのは当然なんだろうけれど、そこに至ったプロセスを見ると悪玉に相応しい輩は他にいる場合も少なくないんだろうね。この小説のように。

そしてその事件の外側にも悪人は存在していて。房枝おばあちゃんを苦しめる業者だったり、悪質なファックスを送りつけてくる市民だったり、そうした見えない、遠くの存在が不気味というか怖いよなあ。普段は背景以下にしか気にしていない人達が、ある瞬間から突然自分に牙を向けてくる。

母親から「どっちも被害者になれん」とお金をせびる祐一の描写がグっときた。でもなんか軽いんだよなあ、みんなして。なんだろう、この違和感。

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