サッカー戦術クロニクル
杉山茂樹氏の「4-2-3-1」がサイド攻撃万歳な戦術本だったものに対して、こちらは74年オランダによる”トータルフットボール”の系譜を追ったもの。当時未来のフットボールと称されたトータルフットボールが、どのようにして生まれ、分布し、現代サッカーの中に根付いていったのかを追いかける。

「目指しているのはトータルフットボールだ。(中略)ただしそれは永遠に実現されないが」
イビチャ・オシム

目次 Amazon.co.jp
より
はじめに トータルフットボールとは何か?
Chapter 1 時計仕掛けのオレンジ
Chapter 2 ACミランのルネッサンス
Chapter 3 バグンサ・オルガニザータ
Chapter 4 天才ヨハン・クライフの挑戦
Chapter 5 アルゼンチンとマラドーナ
Chapter 6 ジダンとアヤックス
Chapter 7 ギャラクティコ
Chapter 8 モウリーニョの4-3-3
Chapter 9 ハードワークの現代
Chapter 10 トータルフットボールの起源
おわりに サッカーはいつでも古くて新しい

相変わらず、西部氏の本はそのサッカーに対する造詣の深さをこれでもかと発揮する。しかし、古典についてはもう少し整理してサクッと終わってもらって、ここ5年くらいの現代のチーム戦術を追いかけて欲しかったなというのが個人的な感想。西部さんが知識が豊富なのは、他の書籍を読んでも、勿論本書からも痛いほど伝わってくるけれども。まあ”クロニクル=年代記”なので仕方ないのかもしれないけれど、より興味を持って読めるのは所謂現代サッカーではないだろうか。というか、現代サッカーで用いられている戦術にどうトータルフットボールが組み込まれて居るのか、指導者が求めているのかを読みたかった。中世に時間を割きすぎて近代・現代まで時間が回らない社会のようだよ。

「トータルフットボールとは何か?」としてみた時には、現代サッカーに『トータルフットボール』がどう息づいているのかが関連付けられているのが良いと思う。なので、面白いことは面白いんだけど、前置きが長く、限定的にしか楽しめなかったので、物足りなさが残ってしまいました。

それでも現代サッカーを取り扱ったチャプター7,8,9は読み応えがあり楽しめました。最終章でやっぱり昔話に回帰してしまうのが残念でしたが。出来れば西部氏の知識を活かした、現代サッカーの戦術に特化した書籍の刊行に期待。

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