世界の終わりと夜明け前
浅野いにお(著)
出版社: 小学館

浅野いにお最新作『世界の終わりと夜明け前』は初の短編集。プンプンの連載再開前に、ビックコミックスピリッツに読み切り作品の「東京」が載っていて、そこで短編集の発売について知ったのだけれど、等身大の若者の、悶々とした感情まで描いてくれるすごく素敵な漫画家なので、やっぱり僕は浅野いにお漫画が好きなんだと思った。

「こっちはこっちで、みんな必死にやってんだ。お前だって逃げるために東京に行ったわけじゃないんだろ?だったらぐだぐだ言ってねーでがんばんだよ」

という台詞に、打ちのめされたのでした。

目次
無題
夜明け前
アルファアルファ
日曜、午後、六時半。
超妄想A子の日常と憂鬱
休日の過ごし方
17
素晴らしい世界
東京
世界の終わり
時空大戦スネークマン

表紙は工夫がなされていて、一見すると帯が黒くて、「虹ヶ原 ホログラフ」のようにダークな印象を受けるのですが、帯を外してみると・・・見事な朝焼けが現れる。

最近、村上春樹の「アフターダーク」を読んだせいか、「夜明け前」も村上小説の影響があるのかな、などと勝手に思う。深夜から始まって朝までのくだりとか、「少なくとも朝は誰にでも平等にやってくるから、そこで何を掴むかは君次第だ」とか。

彼の漫画の見開きの構図はいつも素晴らしいよ。

マンガだけではなくて、浅野いにお本人の文章からも想いが伝わってくる。作品解説とあとがきまでしっかりある。

タイトルは「世界の終わりと夜明け前」なのだけど、本の進みとしては逆に「夜明け前」から「世界の終わり」に向けて進んでいく。夕焼けのシーンがあるのだけど、モノクロながら色味が伝わってくるんだよね。自分の経験が呼び覚まされるというか、まあ夕焼けなんて毎日のようにあるから忘れるでもないんだけど。

でも、こういう胸の奥にある感情というか、ともすれば忘れて行ってしまいそうな、純粋な気持ちを、言葉ではなく、絵でバシっと思い起こさせてくれるので、浅野いにおの作品はやっぱり好きだ。(2回目)

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