- 2008.09.23
- 漫画/書籍
「どんなに走るスピードが落ちたとしても、歩くわけにはいかない。それがルールだ。」
小説家の村上春樹さんが「走ること」を通して、「さあ、僕は今いったい何を考えているのだろう?」と、自らに問いかけながら自分自身の「今」について語ったエッセイ。じゃなかった、メモワール
- 目次:Amazon.co.jpより
- 前書き 選択事項としての苦しみ
- 第1章 誰にミック・ジャガーを笑うことができるだろう?
- 第2章 人はどのようにして走る小説家になるのか
- 第3章 真夏のアテネで最初の42キロを走る
- 第4章 僕は小説を書く方法の多くを、道路を毎朝走ることから学んできた
- 第5章 もしそのころの僕が、長いポニーテールを持っていたとしても
- 第6章 もう誰もテーブルを叩かず、誰もコップを投げなかった
- 第7章 ニューヨークの秋
- 第8章 死ぬまで18歳
- 第9章 少なくとも最後まで歩かなかった
- 後書き 世界中の路上で
まず、自分は村上春樹作品をろくに読んだことがない。
では何故興味を持ったんだ?となると「走ること」について書かれていたから。気軽に始められるからか最近軽くブームになっているけれど、その「走ること」について小説家村上春樹がどのように書くのかに興味があったわけです。にしては、出版されてから読むまでににかなり期間がかかってしまったわけだけど。
で、読んでみた。
自分も走っているせいもあるのか、ランニングに対する姿勢やメンタル、嫌な事があったときにいつもよりも身体に負荷を掛けたくなるマゾい精神なんて共感できる部分も非常に多い。そして彼の無謀ともいえる行動力(炎天下のアテネを走った件や、トライアスロンにも挑戦していること)に驚かされた部分もまた多かったのでした。そして、なによりも、村上さんが年に1度はフルマラソン走破しているんだ!っていう、そこからまず驚いた。無知すぎてすいません。
頭と身体は繋がっているという考え。村上さんの場合は、「小説をしっかり書くために身体能力を整え、向上させる」ことだという。そして彼自身の1人で居ることを好む性格上、誰とも拘わらない自分だけの時間。という貴重な精神安定ツールでもあるんだとか。
村上さんは、空白の中を走っている。空白を獲得するために走っている。や、走っているときに頭に浮かぶ考えは空の雲に似ている。と形容しているが、自分の場合は、思考や情報が整理されてフラットになっていくような感覚がある(それほど多くの情報を獲得しているとは思わないけれど)。スーっと落とし込まれていくような。いわばデフラグ化だ。
身体を動かすことによって脳もしっかりと働いてくれている。
レースのタイムが伸びなくなっても、それはまあ仕方あるまい。走りながらふとそう考える。僕はそれなりに年を取ったのだし、時間は取り分を取っていく。誰のせいでもない。それがゲームのルールなのだ。川が外海に向かって流れ続けるのと同じ事だ。そのような自分の姿を、いうなれば自然の光景の一部として、あるがままに受け入れていくしかないのだ。
自分にもいずれその壁は現れるんだろうなあ。そのときにどう対峙したらいいのだろうかという問いに、村上さんが代弁してくれた気がした。まあ彼が言わずとも、現実を受け入れていくしかないのだけれど。
あとがきの、
これまで世界中の路上ですれ違い、レースの中で抜いたり抜かれたりしてきたすべてのランナーに、この本を捧げたい。もしあなた方がいなかったら、僕もたぶんこんなに走り続けられなかったはずだ。
という、部分になんだか胸が熱くなる思いがした。すれ違ったことは一度もないけれど、自分が走り続けて、村上さんが生涯ランナーで居てくれる限り、いつか機会があるだろう。随分先になるかもしれませんが、言葉は先に頂きました。
怖いモノ見たさだろうか、『ランナーズ・ブルー』というやつにも出会ってみたい。ランニングを通してそこまで自分を追い込んでいくメンタリティというのはどれほどのものだろう。
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